みやぎ移住ガイド

“台風被害”があっても揺るがなかった丸森移住への想い / 橋本 拓郎さん・沙耶花さん

宮城県最南端に位置する丸森町。山に囲まれた盆地状の町で、町の北部を阿武隈川が貫流し、まさに「水とみどりの輝くまち」です。かつては養蚕で栄え、蚕の天敵であるネズミを退治してくれる猫を祀った「猫神」様の石碑が今も町内に多く残っています。そんな丸森町に移住してきた橋本さんご家族を訪ねました。





最後に出会った丸森町


横浜市にお住まいだった橋本さんご夫妻。夫の拓郎さんは熊本県出身、妻の沙耶花さんは秋田県出身です。縁もゆかりもない丸森町に移住してきたのはなぜなのでしょうか?
「いずれは地方に移住したいねと夫婦で話していて、候補地はいくつかあったんですが、最後の最後に丸森に出会いました。」と拓郎さん。「丸森を知ったのは、ふるさと回帰支援センターの宮城県ブース「みやぎ移住サポートセンター」に立ち寄った際に、相談員の方に紹介されたのがきっかけです。





それまでは、丸森の名前も知りませんでした。紹介を受けて1か月後に初めて丸森に来ました。丸森では、色んな方にお会いして話を聞いて、人柄の良さというか、雰囲気もいいし、肌に合うと感じて。なんだか私たち夫婦に合うなと思って移住を決めました。」と沙耶花さん。猫好きなご夫妻は、丸森を訪れたときに町なかで多くの猫に出会えたのも決め手になったそうです。





「猫たちとの出会いも移住の決め手」と話す沙耶花さん



IT企業でシステムエンジニアとして働いていらっしゃる拓郎さん。転勤というかたちで東京から仙台に勤務地を変更し、現在は仙台に通勤したり、自宅でテレワークをしたりしています。







「家族との時間がなにより大事」と語る拓郎さん



仙台市内の職場までの通勤時間は片道約1時間半程度。横浜に住んでいたときとさほど変わらず、時間的には苦ではないとのこと。現在はお子さんがいらっしゃるため、仕事を終えると急いで帰ってきて、家族との時間を大切にされています。

沙耶花さんは、令和2年4月から町の地域おこし協力隊として、「まるもり移住・定住サポートセンター『じゅーぴたっ』」の相談員をされています。移住や空き家に関する相談業務に従事しながら、前職でシステムエンジニアだった経験を活かし「じゅーぴたっ」のホームページの更新や、空き家紹介ページの作成をされています。





「本当は平成31年の4月に移住して、地域おこし協力隊になることも決まっていたのですが、私の妊娠が分かり、移住を延期することになったんです。妊娠のことを担当の方に伝えると『環境が変わって出産するのも大変だから、出産してからで大丈夫だよ。待ってるよ。』と言ってくださって、おかげで子どもと3人で移住することができました。生後4か月の子どもを連れての引っ越しは大変でしたけどね。」と話してくださいました。





台風被害があっても、移住の意思は変わらなかった


丸森町は令和元年の東日本台風で甚大な被害を受けました。橋本さんご夫妻が丸森町に移住したのは令和2年2月。台風被害からわずか4か月後ということでしたが、不安はなかったのでしょうか。
「里帰り出産のため実家に帰省していたときに、テレビで丸森の被害状況を知りました。不思議と丸森に移住する意志は変わりませんでした。むしろ、被害が大きく大変な状況の中で協力隊としての着任を断られるのではないかと心配していました。役場の方と電話で話した際に、『おいでよ。大丈夫だよ。』と言われ、安心したのを覚えています」と沙耶花さん。引っ越し先の町営住宅は当初1階を予定していましたが、台風被害により2階に変更してもらったそうです。
橋本さんご家族が引っ越したとき、町民グラウンドには災害廃棄物がまだ残っていたそうで、現在も町内各地で河川や農地の復旧工事の様子が見られます。橋本さんご夫妻が丸森で暮らす月日と共に、町も復興に向け歩みを進めています。



便利じゃないけど、不便じゃない


拓郎さんが丸森町に移住して一番良かったと思うことは、「環境がのんびりしていること」だそうです。





お子さんを外で遊ばせることができ、休日は車で近隣市町の公園に出かけることも多いとか。「以前は車を持っていなくて、出かけるときは電車やバスを利用しなければならなかったので出かけにくかったのですが、横浜にあのまま住んでいたら、コロナでどこにも出かけられなかったんじゃないかと思います。」と話してくれました。





「丸森は便利じゃないけど不便じゃない」と話す沙耶花さん。車があれば買い物はでき、空港、新幹線、高速道路に30分ほどでアクセスできる立地は首都圏ではなかなかないとのこと。「この立地で、自然が身近にあって、星がきれいに見られる。この環境がとても居心地がいい。」と、地元の人では気づけない丸森の良さを教えてくれました。





地域の人の顔がわかる環境


拓郎さんは丸森に来て驚いたことがあったようです。「地域おこし協力隊の方はもちろんですが、町民の方も元気があってチャレンジ精神があると感じています。移住って、自然溢れる良い環境は手に入れたけど、生活に刺激が足りなかったりするんじゃないかというイメージがありましたが、丸森の人は新しいことをやろうとしている人が多いように感じます。近所に住んでいる70代の方が、新しくコインランドリーを開店したときは驚きました。調べてみると、丸森は人口比に対して事業所というか自営業の方が多いんですよ。」と話してくれました。





沙耶花さんは丸森に住んで、暮らしに余裕ができたそうです。「横浜に住んでいたときは、通勤電車が戦いで、空気の読み合いというか、満員電車で駅員さんが人を押し込む様子がイメージできると思うんですが、自分で自分を押し込んだりしていました。





本当にギスギスしていたと思います。5年くらい横浜に住んでいましたが、地元の人と知り合う機会もなかったし、顔を知っていたのはアパートの隣の部屋の人ぐらい。それに比べたら、丸森では同じアパートの人の顔も名前も分かるし、アパートの隣の家の人、同じ地区の人とも仲良くなることができました。」と、近隣住民の方から野菜やおかずを分けてもらったり、小学生が道で挨拶してくれて驚いたりしたことも話してくれました。





「地域の清掃活動に参加することも楽しい」と、拓郎さん。近隣住民の方とのお付き合いも丸森での生活の楽しさに繋がっているようです。



垣根を超えた交流


そんな人付き合いを大切にされる橋本さんご夫妻は、お住まいの地区以外でも活動しています。沙耶花さんは、地域おこし協力隊の仲間とともに「お試しよりも身軽に、観光より身近に」をテーマに「marumolink(まるもりんく)」というプロジェクトを立ち上げました。2か月に1回の頻度で開催しているプロジェクトのイベントでは、地元住民を含め様々な方との交流が生まれています。拓郎さんとお子さんも参加しており、お子さんは人見知りをしない性格でイベントの参加者や地元の人と馴染むのが早いそうです。





お二人共通の趣味は「星の観察」。地元の「阿武隈天文同好会」に加入し、定期的に観測会に参加しています。「丸森は周りを山に囲まれていて、都市部の光が届かず、でも山の高さもそれほど高くなく空が開けていて星が良く見えます。」観測会には、会員の方だけでなく一般の方も参加し、星の観察の仕方を教えることもあるそうです。
年齢や仕事の垣根を越えた交流は、橋本さんご夫妻の丸森での人脈と活動の幅をさらに広げていくように思えます。





丸森への定住


最後に今後やってみたいことをお二人に伺いました。
「『marumolink』を成長させて、今後も丸森に関わりながら仕事をしていければいいなと思っています。今度、丸森を題材にしたゲームアプリをリリース予定で、ウェブコンテンツも増やしていく予定です。」と沙耶花さん。拓郎さんも「プログラミング教室のようなことができればいいなと思っています。」と、お二人ともこれまでに培われたITスキルを武器に丸森での活躍が期待されます。





「そしてコロナ禍でなかなか遠くまで出かけることができなかったので、落ち着いたら宮城県の北部の方にも足を運んでみたいですね。二人とも自転車が趣味なので、子どもが大きくなったら家族でツーリングや天体観測もしてみたいです。丸森にはキャンプ場もあるので、子どもとキャンプするのも楽しみ。」と、ご家族でやりたいことも語ってくれました。





住宅を新築し、丸森での定住を決めた橋本さんご夫妻。
移住してきたときからコロナ禍で、この状況が落ち着いたらやりたいことがたくさんあります。
今後、丸森での生活がさらに充実していきそうです。



沙耶花さんの地域おこし協力隊としての活動、marumolinkはこちらからご覧いただけます。
ぜひ覗いてみてください。
https://www.facebook.com/marumori.chioko/
https://marumolink.com


(2022.1)

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