みやぎ移住ガイド

鎌倉市からUターン。岩出山をもっと魅力的な街に。/渋谷大輔さん・英美さん

宮城県の北部に位置する大崎市岩出山は、伊達政宗公が青年時代に居を構え、仙台城へ入城後は岩出山伊達家の城下町として発展した町。江戸時代の史跡が現存する歴史の町として有名です。ここ岩出山にUターンし設計事務所を営む渋谷大輔さんと英美さんご夫妻は、子育てとお仕事を両立するかたわら地域活動にも力を入れています。風情ある岩出山の町を愛し、もっと「魅力的」な町にしたいと意気込むお二人に、Uターンのきっかけや暮らしぶりなどについてお話を伺いました。





移住先を考える日々。こたえは故郷にあった。


Uターン前は鎌倉市で8年間暮らしていた渋谷さんご夫妻。その生活は不自由のない環境のもと、とても充実していたといいます。
「満たされすぎているという感覚があって、どこか地方の方で自分たちが役に立てることはないかなと考えていました」とそのきっかけを話すのは大輔さん。その隣で寄り添うように頷く英美さんは広島県のご出身。

大輔さんは、旅行やお仕事で地方に行く機会があると「良い移住先がないか」と探していた一方、知らない土地での生活に不安もあったとも。
いろいろと考えを巡らせる中、頭に浮かんできたのは年に1、2度の帰省を欠かさなかった故郷の岩出山。
「自分が小さかった頃に比べるとお店なども減ってきて、寂しい感じがしていましたね」そして「この町に対してできることはないかと考える様になりました」と岩出山へのUターンを意識し始めた頃を振り返ります。




生まれ育った土地での生活を意識し始めると、そこに次々とUターン生活のメリットを発見していきます。
「地元には知っている人も居ますし、自分が生まれ育った場所が一番リスクが少ないと思いました」と岩出山を選んだ理由をシンプルに語ります。
建築を生業としている大輔さんは「いつかは、自分で設計した一戸建てに住みたいという想いがありました」とも。
「鎌倉や都内は、一戸建てを建てるには土地も高く現実的ではなかったけれど、地元に帰れば値段も安く、広い土地を手に入れられるのではないかと考えました」
と岩出山だからこその可能性を見出します。




また、子育て世代の二人には、大輔さんのご両親の存在は強い味方。
「子供もまだ小さいので、両親や親戚が近くにいるのは助かりますし、他にもいろいろなメリットがあるので、思い切って妻に提案してみました」と英美さんに、温めていた考えを切り出すまでを話してくれました。



『そうか、その手があったんだ!』


大輔さんから「Uターンで帰らない?」と提案されたのは2018年の2月のこと。
「その一年後に本当にUターン移住することになりました」と話す英美さんも地方への移住を果たした友人たちの影響を受け、自分で道を切り開く生き方にあこがれを抱いていたといいます。




城下町独特の風情を見せてくれる岩出山の街に「自分たちが動いてなんとかすれば、もっと魅力的な街になるんじゃないか」という、これからの可能性も感じていた英美さん。
「主人から『帰らない?』と言われたとき『そうか、その手があったんだ!』くらいの感じで直感的に受け入れられました」「違うところに『帰ろう』と言われてもYESとは言わなかったと思います」とUターン先が岩出山であったからこそ受け入れられたことも打ち明けてくれました。




「結婚してからは毎年帰省していて、街並みに城下町風情が残っているところがとてもいいなと思っていました」と鎌倉で暮らしていたときから、この町の風情に魅せられていたそうです。





流れに逆らって生きたほうが面白いと思う


「岩出山での生活に多くのメリットがある一方、やはり不安要素もありました」と語る英美さん。

確かに、鎌倉での8年の間に築き上げたお仕事や人とのつながり、また生活環境をはじめからやり直すことは大きな不安であったと想像されます。





「現状のまま、その流れにのって生きようと思えば全然楽なんですが…」と英美さん。
「それが物足りない生き方だなと思うようになってきたんです」とさらに言葉を繋げ、目を輝かせる大輔さん。
その言葉は、これからのこの町を背負っていくという覚悟の現れ。

期待と不安が交錯する中での決断は、流れに逆らえるだけの計画と前向きな思考力があってこそ。
お二人はマイナス要素をプラス思考に変え、岩出山でのUターン生活に向け一気に舵を切っていきます。





同世代の動きを見逃さない。面白みの香りを感じとる


お二人は、岩出山へのUターン・Iターン経験者の座談会などにも積極的に参加し、生の声や様々な意見をインプットすることで、自分たちの”やりたいこと”を客観的な視点で考えることも欠かしません。






「僕の同級生は戻ってきて活動している人が意外に多いんです。」と大輔さんはいいます。
岩出山に戻って“量り売り専門店”を開業した同級生。そのお店の設計デザインなどを大輔さんたちが担当するお話など。いくつかの実例をお聞きすると、この街の同世代のつながりの強さ、コミュニティ意識の高さも伺えます。
お二人は、そんな岩出山の町に独特の「面白い香りを感じる」といいます。
「岩出山に戻って来てみて、クリエイティブなお話を共有できる人と出会えたことが嬉しかったし、とても心強かったですね」と予想外の収穫もあったという英美さんは、デザイナーとして確かな感触も得られている様です。





「僕らの世代は今、ちょうど40歳です。この世代が一番動ける年齢層だと思っています」と大輔さんは、窓越しの通りに眼をやりながら力強く語ってくれました。



きっかけは精度の高い文章力。SNSがきっかけで「本」づくりのオファーを受ける


岩出山地域づくり委員会から依頼を受け、「地元・岩出山の本」の制作を手がける英美さん。
当初は「なぜ私に?」「うまく出来るだろうか?」と戸惑いもあったという「本」の制作。




「きっかけは、私自身の思考の整理のために書き綴っていた『note』(自身の作品を投稿して作者とユーザーをつなぐサービス)なんです。それに眼をとめてくださった方が“文章を書ける人”と思われたようで。まさかそんなお仕事に発展するとは思いませんでした」と照れくさそうに教えてくれました。
「長くこの土地に住んでいる人は、この土地の魅力に気が付いていないところもあると思うんです。それを伝えるための本なんです」と本の目的説明。

また「この街の人に、この街の魅力をもっと知ってもらい、まずはここにいる人たちが楽しく暮らしていける。それが移住者に来てもらう事にもつながると思うんです」とご自身の考え方についても話してくれました。
この「地元・岩出山の本」は来年3月頃の完成予定。
現在、持ち合わせた文章力と編集力を活かし、この本の制作中の英美さん。今、地元の人たちの期待を集めています。



住んでみて実感。四季を感じる贅沢さ


「秋になると稲穂が色づいて黄金色になり、冬になったら雪が降って白銀になって、四季の変化が色で解る感覚がありますね。色で解るって、子供の感性にも良い気がしています」英美さんは岩出山に住んでみて四季の移ろいを実感したといいます。
大輔さんもまた「秋の実り」に「この歳になって改めて感動しました」と。
「小っちゃい頃はなんとも思わなかったこの景色がすごく沁みますね」都会での暮らしを経験したからこその素直な気持ち。それを噛みしめるように語る表情が印象的でした。





都会暮らしでは考えられない「見守られている感じ」


時おり姿を見せる野生動物。住まいから少し歩けば川や山が。
そんな岩出山の自然環境を「ガチすぎる(笑)」と表現する英美さんは、
これまでとはレベルが違う自然の中で、子供を遊ばせるのに少し困惑しながらも、
広々した校庭や園庭で「のびのび遊べるのが一番」と豊かな自然環境での子育てに満足している様です。






「子供の数は少ないですが、そのぶん地域の方に覚えてもらいやすいので、見守られている感じがあってとても安心ですね」と英美さんは子育てのしやすさを強調。
また「お隣のおばちゃんは、うちの子供のためにいつもお菓子を用意してくれていたり、こども園と学童を掛け持ちで勤めている方もいて、学校での様子を教えてくれたり、もう家族と一緒ですね」と“大人の目がしっかりと行きとどく” 岩出山での日常の様子も語ってくれました。





念願だった「自分で設計する一戸建て」


大輔さんは、本業の設計事務所「一級建築士事務所スタジオシンクロール」を2012年に鎌倉で設立以来、多忙ながら充実した事業を展開しています。
“共感した人”=シンクロ “巻き込んで”=ロール
「共感した人を巻き込んで物づくりをしたい」という想いを込めて名付た屋号の設計事務所は、今年で10年目となります。




Uターンして岩出山に移ってからは、素材の地産地消をテーマに地球環境への負荷の少ない家づくりを丁寧に実践されています。
「僕たちは二次利用できない物は作りたくないんです。なるべく地元の木や素材を使ったり、ときには古民家から素材を流用したりしています。漆喰や土壁もこれからチャレンジしていきます」と家づくりのコンセプトを語る大輔さん。





そんなお二人がインタビューの最後に見せてくれたのは、2022年秋頃に竣工予定の「自邸」の建築模型。




英美さんは今、アートセラピーのひとつである「臨床美術」のワークショップを毎月開催しているそうで、
新居にはそのアトリエも構える計画中だそうです。




模型に触れながら「僕は横のつながりを作っていくのが大好きなんです。大崎市に限らず色んな地域に仲間がいて、岩出山に活かせることはないかという視点を持って情報交換しています。」とこの街の未来を見据える様に語る大輔さん。
“ここ岩出山の町に、お二人のような熱い思いを持った人たちの輪が、どんどん広がっていく” そんな様子が目に浮かんできました。

Uターンした岩出山でお仕事と子育ての両立を果たし、地域活動にも奮闘するお二人。
これから地元・岩出山をさらに魅力的な町に進化させていきます。



お二人の岩出山での暮らしぶりはこちらでもご覧いただけます。
ぜひ覗いてみてください。

一級建築士事務所スタジオシンクロール オフィシャルサイト(http://s-syncroll.com/
英美さんnote(https://note.com/sbyhdm/



(2021.11)

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