丸森から伊達冠石と山の魅力をより多くの人に伝えていきたい/山田能資さん

伊達冠石と大蔵山に魅せられて移住


宮城県丸森町でしか産出されない伊達冠石(だてかんむりいし)という石があります。2000万年以上前の火山によりマグマが冷え固まってできた特別な石で、時を経るにつれて味わいを増すと言われています。

「丸森から伊達冠石と山の魅力をより多くの人に伝えていきたい」

この伊達冠石が産出される丸森町大蔵山に魅せられて、ふるさとにUターンしたのが山田能資(たかすけ)さん。山田さんは、都内の大学で経営学を学ぶ傍ら、絵を描くことにも没頭して、在学中に渋谷で個展を開くまでになりました。その後、デザインを学ぶためにロンドンの芸術大学へ進学しました。そんな山田さんが石と山の魅力を知ったのは、世界中から彫刻家が集い、山の修景作業を共同で行う大蔵山ワークキャンプというイベント。様々な感性を持つ作家と話す中で、山田さんは大蔵山や伊達冠石の魅力をご自身の中でしっかりと認識するようになりました。

移住者に嬉しい丸森町の自然

大倉山

そもそも、大蔵山に彫刻家が集まるようになったきっかけは、世界的な彫刻家イサム・ノグチが大蔵山でしか採れない伊達冠石に魅了され、作品の素材として使用し始めたことでした。イサム・ノグチの彫刻作品は伊達冠石と向き合う課程で少しずつ変化していきます。それは、石をただ単に素材として捉えるのではなく、作品全体のフォルムに大きな印象を与えるものとして再考されました。また、「作家の意のままに石全体を削り落とす」のではなく、「石の元々の表情を大切にし、手を加える部分は最小限度とする」というスタイルへと移行していきました。
伊達冠石は世界的な彫刻家の創作スタイルへも大きな影響を与えた石なのです。


デザインを学び、今に活かす


――習得したデザインもあくまで石のために。
山田さんの伊達冠石への情熱は会社も変えます。春には社名を「山田石材計画株式会社」から「大蔵山スタジオ株式会社」へ変更、新たなビジョンとともに再出発しました。社名の「スタジオ」には工房という意味があり、大量生産型ではなく、石をより深く観察して、「本当に美しいと思える拘りのプロダクトを世に送り出していきたい」という想いが込められています。

伊達冠石

新たな会社では、今まで開催してきた大蔵山ワークキャンプに加え、音楽会やガイドツアーを開催し、より多くの人に大蔵山や伊達冠石の魅力を体感できる機会を増やす取り組みを進めています。その過程で、完成した大蔵山のガイドマップ。ここに描かれているイラストは山田さん本人が描かれたもの。「採掘場」という閉ざされたイメージを払しょくしたいという想いから。このガイドマップを手にしたお客さまからの評判も上々のよう。学んできたデザインの力がここにも活かされています。

丸森町ガイドマップ

「石の可能性はまだまだあるはずだ」

今年9月にはパリで、某デザイナーとコラボレーションした伊達冠石のプロダクトがデザイン界に影響力を持つギャラリーに展示されました。伊達冠石の海外での展開の可能性が更に深まりました。山田さんのこれまでの経験全てが、今に活かされています。


丸森町にさまざまな人が集まる起点に


山田さんは、伊達冠石を採掘している大蔵山を保存、活性化する取り組みも行っています。
イサム・ノグチの影響から、大蔵山には彫刻家が集まるようになりましたが、1980年代初頭の大蔵山は重機のタイヤ、切りっぱなしの原石が無造作に転がっている状態でした。

「採掘をしながらも、山を美しくしていく」

現在、約50ヘクタールの敷地には採掘エリアと採掘が完了した場所を活かした文化事業エリアがあり、この文化事業エリアに石や木、土を利用した多目的サロン、図書館などが点在しています。今年9月に開催した4回目のワークキャンプでは、「山に駐車場をつくろう」というテーマを基に、日本の作家に加え、ラトビア、オーストリアからも作家が山に集結。地元の多大な協力を得ながら、1ヶ月にわたり創造的な駐車場を造成していきました。
このあとも、このような壮大な計画が続くとのことです。

これからの丸森町

宮城県丸森町近隣には、Uターンなどでユニークな視点と経験を持って移住した面白い人が多くなっています。こうした前向きで面白い視点を持った方、そして地域に根ざしてきた地元の方と協力しながら、大蔵山を地域の魅力として発信したいと語る山田さん。丸森町は 町に残る文化財「齋理屋敷」に代表されるように伝統をしっかり継承する姿勢があり、また地元に誇りを感じている住民が多く住む地域。また、渓谷や田園風景など景観の魅力もたくさんあります。

「こんな環境の中で、新たな挑戦を僕たちと一緒に探っていきませんか?」
この地を愛してやまない山田さんの挑戦はまだまだ続きます。


インタビューした人:山田能資さん
category: 移住者インタビュー   theme: 丸森町

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