未来の子どもに恥じない生き方を。川崎町から里山自給生活を発信したい/朏昌汰さん

きっかけはニュージーランド


「宮城県川崎町への移住のきっかけは、ニュージーランドなんです」と話す朏(みかづき)昌汰さん。京都出身の25歳。2018年4月から川崎町の地域おこし協力隊として活動をしています。「空き家バンク」の仕事をメインに担当、若い世代の移住を促進するため、購入ではなく賃貸物件を増やそうと計画中。高齢者の多い土地柄を考慮してネットの募集だけではなく、「自分の足で賃貸可能な空き家の所有者を探すつもり」と意欲的です。



朏さんは高校を卒業後、京都市営地下鉄で運転士も経験した経歴の持ち主。しかし、22歳のときに仕事を辞めることを決めます。「昔から起業したいと思っていました。いろいろな経営者に会って話を聞き模索する中、お金を稼ぐことを人生の目的にするのは向いてないなって思ったんです。会社が利益を得るためにどこかの国の誰かが苦しんだりするのは生き方として違うと」お金が中心で人とのつながりが薄い。地球温暖化のことも気になる…。そんな思いから、子どもが生き方を学べる寺子屋のような場を作りたいと、まずは外の世界を見るために、ニュージーランドに渡航を決めました。再生可能エネルギーが発達していて人口密度が低く、日本にない経験ができそうだと感じたからです。



思いをともに活動できる仲間との出会い


ニュージーランドでは主に、WWOOF(ウーフ)を利用して過ごしました。有機農業の農家などに宿泊させてもらう代わりに無償で作業を手伝う、NGOが運営する仕組みです。その中で、お世話になった日本人夫婦のホストが、「きっと気が合うよ」と繋いでくれたのが、東北大学でエネルギーデバイスの研究をしていて、現地に留学中だった中安祐太さんでした。当時、学生だった中安さんは、東日本大震災を経たこれからの生き方を考えていたところ、ある講演会で「NPO法人川崎町の資源をいかす会」の理事長 菊地重雄さんと出会いました。会の「食料とエネルギーの地域自給率100%を目指す」という活動テーマに感銘を受け、帰国後は川崎町への移住を決めていたのです。



意気投合した朏さんと中安さんは、一緒に先住民マオリが住むパリハカ村に訪問するなど交流を深めました。「人間も自然の一部という考え方が根付いているマオリの文化には学ぶところが多かったです。例えば自己紹介では、必ず生まれ育った恩恵ある山や川の名前も話します。自分は自分を取り巻く自然環境とともにあるという考えです。」マオリの友だちもでき、帰国から半年後の2017年8月には、パリハカ村へ「里帰り」をしました。その時に中安さんと一緒に川崎町で活動することを決めました。


自然資源の豊富な川崎から、未来の暮らしの理想形を提案




現在、朏さんは「資源をいかす会」の菊地さんの家の離れで中安さんと共同生活をしています。「協力隊が終わる3年後の起業に向けて、すでに動き出している」と朏さん。中安さんをはじめ、仲間たちで、里山文化と現代の技術が融合した暮らしを提案する「百(モモ)」という名の任意団体を立ち上げました。百には、何でも自分の手でやっていく「百姓的な」考え方や、100年後の子どもに恥じない生き方をする…など、いろいろな思いを込めています。中安さんが大学で研究を進め、朏さんは企画や広報として活動。さらにもう一人、まちづくりコンサルタントの仲間もでき、彼も川崎町へ移住を決めました。


「まずは食・エネ自給率100%のゲストハウスをつくります。太陽光や小水力発電、薪ストーブなど再生可能エネルギーを利用し、田んぼや畑で育てた食材を使って調理するなど、里山の自給生活のスキルが習得できる場です。歴史のある温泉も豊富なので、湯治に通いながら楽しめるようにするなど地域の資源を活用。段階的に進めながら会社にしていくつもりです。」



先日、自分たちの考えを町長はじめ町の人たちに聞いてもらう機会も設けました。リタイア世代は第二の人生の生きがいに、若い世代は生き方そのものを学べる場に。森林率80%の森林資源や、川崎という名の通り水資源となる多くの川が存在する、自然資源に恵まれた町だからこそ発信できる暮らしがあります。これから子どもたちにも、「町内の山に木を植える体験などを企画していきたい」と朏さん。里山は人が手を掛け、年月をかけて作られていく。マオリの考え方にもつながる、川崎町ならではの体験です。「少し前まで東北に住むことになるなんて考えてもいなかった。出会いがあって、仲間がいたからここに来ましたが、人生っておもしろいですね」と、朏さんはここ川崎町での暮らしを楽しんでいます。


インタビューした人:朏昌汰さん
category: 移住者インタビュー   theme: 川崎町

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