移住先は古民家に住まう、子育てと「峠の市」。/今村悦子さん

子供の誕生は宮城への移住の架け橋


宮城県石巻市北上町。山間のあぜ道にある一軒の古民家。
ここに住むのは今年で移住2年目の今村悦子さんご家族です。大工をされているご主人と娘の虹ちゃん(2歳)と農業を営みながら暮らしています。今村さんの住む古民家は昔、蚕を育てていたという大きな家。土間を上がると正面の壁に元からあったという、大きな鶴と亀の縁起の良い絵があり、その下に引き延ばされた、おおきなお腹が微笑ましい今村さんの写真が飾られています。

古民家へ移住

今村さんは仙台市出身。自然が大好きで結婚後は沖縄に住んでいたこともありましたが、当時は山の中での暮らしは想像もしていなかったそうです。宮城県への移住のきっかけは夫婦一緒に震災ボランティアで石巻に来たことでした。ボランティア生活を送る中で子供を授かり、町の人たちが赤ちゃんの誕生を待ち望んでくれました。親切で優しくしてくれる仮設住宅に住むおじいちゃん、おばあちゃんが喜んでくれたら嬉しい…と思い、出産を石巻でと決めたころ、タイミングよく古民家の話を頂きました。


移住先で見つけた、地域の人との交流の中で暮らす毎日


移住者今村さん

震災と子供が出来たことが今村さんの生き方、生活の価値観を大きく変えました。震災を通して「生きる術が大事だ」と感じ、子育ては自然の中で田んぼと畑を借りてなるべく自給自足で暮らそうと決めました。
農業の経験はゼロ。最初は本当にやっていけるのかと自信もなかったのですが、それでも近くに住む近所の方から農業を教わりながら、今では季節の野菜、お米や大豆をとって豆乳作りもしています。

宮城の移住定住

「農薬を使わない安心して食べられるものをつくりたい」と、雑草と共に作物を育て自然栽培にこだわっています。娘の虹ちゃんも一緒に草むしりのお手伝いをすることも。車も通らない道、大きな庭、ここには子供がのびのびと過ごせる環境があります。ぐるっとお散歩をしていたら、近所のおばあちゃんに「お茶飲んで行け〜」と声をかけられます。
そんな地域の人との温かい交流の中で子育てをする毎日です。

北上町の支援センターにも週に何回か遊びに訪れます。地区は広くて車で1時間ぐらい離れたお宅もあり、小学校は生徒数約100名。都会には教育環境に多くの選択肢があるけれど、少人数だからこその良さや、学びがあるのではと今村さんは家族に最適で必要なことをここで摘み取っています。
たまに仙台の実家に帰ると、街の灯りや人ごみがちょっと苦手になっていたり、自然の中での生活とのギャップを感じたりします。様々な情報が入りすぎると、何が大事なのか分からなくなってしまうので、今村さんのお宅にはテレビはありません。食事もなるべく自分たちの作った野菜や保存食などを生かし、本当に自分たちに必要な物だけを選びます。子育てやここでの暮らしについてご主人とたくさん話すそうです。


「未知の奥(みちのく)峠の市」から伝える、優しい暮らし


「石巻の自然の中で多くの事を学びました。震災があって食の事とか私も不安になりました。多くの人が選ぶ物を考えたと思うんです。それでも時間が経つとぼやけていってしまう…ですから、自分のように子育てしている人、お母さんたちに食の安心や安全を伝え続けていきたいです」
移住を決めたのは、子育ての他にもまだここでしたいことがあったからです。

峠の市

今村さんは石巻市に住む友達と追分温泉(石巻市北上町)で「未知の奥(みちのく)峠の市」と名付けた手作り市を企画しています。こだわりの生産者さんを呼びかけ、環境に配慮した食材や料理などをPRしています。
今村さんも北上町でとれた大豆で豆乳の販売をしました。この手作り市は地域の盛り上げにも一役買い、遠くからの来場者がいるほど人気となっています。冬期はお休みでまた来年、春から秋までの毎月第3日曜に開催する予定。暮らしの便利さを優先ばかりさせるのでなく、自然に則した優しい生活の在り方を発信したいと今村さんは月のように明るく輝く瞳で、真っすぐに語ってくれました。
「これからも自主上映や、個人的に保存食や味噌作りの手作り教室もやっていきたい。」
食べる物の豊かさがあって物を分かち合う、お金の必要ない暮らしがあり物でなくても力を貸したりもします。そういう生きる原点があると感じ、お金以上に大事な物が見えてくる移住生活。自然の中でのびのびと育つ子供と一緒に今村さん自身の可能性も広がっていくようです。

子育てを宮城で

インタビューした人:今村悦子さん
category: 移住者インタビュー   theme: 石巻市 住まい

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