みやぎ移住ガイド

縁が繋げた蔵王の生活/山岸 周平さん

宮城県南西部の奥羽山脈に連なる蔵王連峰の裾野に位置し、蔵王国定公園の国有地が町の3分の1を占める自然豊かな蔵王町。
温泉郷である遠刈田温泉から車で少し走ったところに、昭和60年から長年にわたり利用者に愛され続ける『ペンション そらまめ』があります。
このペンションを3代目のオーナーとして引き継いだのが東京からご夫婦で移住した山岸周平さんです。“人と人との縁”がもたらした移住の経緯や、蔵王町での暮らしぶりを伺いました。


黄色と緑色の外観が新緑に映える「ペンション そらまめ」


ペンションそらまめとの出会い


長野県生まれの山岸さん。前職は東京で消防士だったそうです。
学生時代からスキーやスノーボードを始め、登山やクライミングなど自然と触れ合える遊びが好きだったそうです。28歳頃からはバックカントリー※に挑戦し始めます。
同じ時期に消防士としての目標だった「山岳救助隊」に入るという夢を叶え、奥多摩署に配属された後、登山技術やロープワークなど、あらゆる知識と技術を習得し、経験を積んできたそうです。
仕事と趣味を両立させながら充実した日々を過ごす中、バックカントリーで仲間達と様々な山をめぐっている時に『マウンテンフィールド宮城蔵王すみかわスノーパーク』の圧雪されていない雪に惹かれ、みやぎ蔵王を訪れました。


憧れのみやぎ蔵王屏風岳を滑った時の山岸さん

(※スキー場など管理されたエリア以外で、スキー、スノーボードを楽しむこと。)


「当時は山形蔵王しか知らなかったので、ガイドさんにたまたま紹介して頂いて、宿泊に利用したのが前のオーナーが運営していた時の『ペンションそらまめ』でした。」この時の縁からペンションそらまめとの繋がりができた山岸さん。
その後も登山や雪山めぐり等で全国を旅する中、ペンションやゲストハウス等を利用する機会が多くなります。その中で「いつか宿を営みたい」という考えが強くなっていったそうです。



当時はまだ交際中だった奥様と「老後はペンションなんかやりたいね」と話していた中で、山岸さん自身がよく利用していた東京都最高峰の雲取山にある山小屋『三条の湯』で小屋番を募集しているというお話を耳にします。
「周りの方々にもいつか宿をやりたいと話していたこともあって、人伝に声をかけていただきました。」という山岸さん。しかし、その時はなかなか踏み出すことができなかったそうです。
「返答の期限が迫る中で、妻から『やっぱり好きなことやったほうがいいよ』という言葉に後押しをもらい、決心しました。」と当時の心境を教えてくれました。
これをきっかけに山岸さんは、宿を営むという夢のため消防の仕事から小屋番へ転身をされます。



「通常山小屋は5~6人くらいで運営をしているところが多いのですが、『三条の湯』は基本僕一人で管理をしていました。食事の準備や設備の点検など全てを切り盛りするのはどこかオーナーになったようで面白いなと思っていました。」
仕事にやりがいを感じながらも、奥様の元へ帰るのは、月に1回ある5日間の休日だけという生活だったこともあり、奥様とは小屋番をやるのは長くて3年という約束をし、その後は独立をしようと話していたそうです。


ディジュリドゥという民族楽器を吹く山岸さん。山小屋時代には塩ビ管で練習をされていたそうです。


蔵王との縁


約束の3年目、世間は新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発令される折。生活に大きな変化が起きていました。
「宿を実現するために、妻と一緒に緊急事態宣言などの合間をぬって様々な情報収集をしていました。地元の長野県にある白馬のペンションへ行ったりする中、“そらまめ”にも妻をつれて行きたいなと考えていました。そんな時、偶然見た“そらまめ”のブログで、新型コロナウイルスの影響で今後の経営に悩む様子を目にしました。」
以前“そらまめ”に宿泊した後も、山岸さんはオーナーのご家族とメールなどでやり取りを続けていたそうで、「とりあえず、一度連絡をと電話を入れたところ、『売りに出しているからよかったら山岸君買わない?』と逆にお誘いをされてしまいました。」との事。
偶然動き出した縁でしたが、山岸さんは「ペンションをやるのであれば“そらまめ”みたいなペンションをやりたい。」そんな風にずっと思い描いていたこともあり、今回の決断は早かったそうです。
そして奥様を連れて“そらまめ”へ宿泊に来る予定は、急遽契約手続きのために訪れるという内容に変わったそうです。
「その頃は、まだ山小屋での小屋番としての仕事をしていたため、2泊3日での訪問でした。短期間で契約の手続きと、融資の手続きをしなければならず、融資などはもう数回足を運ばなくてはいけないと考えていたのですが、オーナーさんが様々な段取りをしてくれていたこともあり、とんとん拍子で手続きは進んでいきましたね。」とここでも山岸さんの縁が、良い方向へ導いてくれています。



憧れのペンションオーナーに


2020年12月に山岸さんは奥様と蔵王町へ移住されます。
ペンションは8部屋のゲストルームと趣のある暖炉が暖かいダイニング、そして山岸さんおすすめの温泉を引いたお風呂。掃除や料理に加え畑のお手伝いなど、お二人で切り盛りをされています。
実際にペンションのオーナーをやってみると、移住者ならではの強みもあったそうです。
「自分が移住者ということもあって、外から訪れる方がどんなものを喜んでもらえるのかが地元の方よりも少し分かる気がするんです。地のものにこだわった地域の食材や蔵王の高原野菜など、地元では当たり前のものが訪れる方にはとても喜ばれます。」と眼を輝かせる山岸さん。


ベットメイキングを行う山岸さん


また、今までの山岳救助隊や山小屋での経験も活きていると教えて下さいました。
「最近は山登りをしていた経験を活かして、ガイドツアーのようなものも始めてみました。トレッキングや雪山のツアーなど、できる範囲でお客様の興味のあるものを一緒に体験しに行っています。地域の方や事業者の方のご協力もいただきながら、農業体験や陶芸体験をしたり、他にも牧場体験や木を切るお仕事だったり、実際の移住生活を体感していただいたりもしています!」


蔵王は登山者にもとても人気のある場所です


繋がり続ける縁


山岸さんは前のオーナーさんからそらまめだけでなく、移住者の相談役のような役割も引き継ぐような形となりました。
「前のオーナーさんが、不動産関係のお仕事もされていたこともあり、移住を希望する人たちからよく相談を受けていたそうです。その縁もあって自分も今『みやぎ蔵王別荘協議会』の活動にも携わっています。」
「お客様の傾向としては、前のオーナーさんの繋がりや、自分が実際の移住者だということで、別な場所に農泊で訪れていた方がわざわざ話を聞きに足を運んでいただいたり、移住の相談に乗ってほしいという方もお客様としていらっしゃっいますね。」と嬉しそうに語ります。
様々なご縁で蔵王に繋がってきた山岸さんですが、気が付くとご本人が縁を繋げる側になっていました。
「実際にそらまめに宿泊されたのがきっかけで、蔵王にペンションを購入された方もいました。ご近所で空き家になったところをご紹介したら、とても気に入っていただけました。どんどん縁が繋がっていくことはいいことだと思います。」
山岸さんは続けます。
「今後は、より一層移住につながるようなきっかけを与えられるようになっていけたらと思っています。ガイドツアーや地域体験も、そのきっかけの一つになればいいなと思い始めました。色んなものを参考にしながらうまくアピールに繋げていければと思っています。」と未来のビジョンをも明確です。



移住を考える人へ


偶然の出会いから「宿」をやるという夢を実現した山岸さん。
それは、山岸さんの人柄や、チャンスを逃さない行動力があったからこそ繋げられた縁だと感じました。
最後に今から移住を考える方へメッセージをいただきました。
「まずは、その地に縁を持ってから動いた方がいいと思います。その方が色々と行動もしやすいと思います。」

取材時も美味しいコーヒーでおもてなしをしていただきました


「ここは様々なストレスを抱える人がそれを安らげる場所でもある」という言葉が印象的でした。
蔵王の豊かな自然の中、穏やかな山岸さんと出会える”ペンションそらまめ”。一度訪れてみてはいかがでしょうか。



ペンションそらまめのブログでは山岸さんのガイドツアーや蔵王での暮らしなどが発信されています。是非覗いて見て下さい。
ペンションそらまめ(https://www.soramameo.com/


(2022.6)


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